ご存知ですか?「産後クライシス」

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「出産は、家族の幸せの始まり」・・・・。
日本のメディアはこれまで、そうしたイメージをある種”無邪気に”発信してきた。
しかし、もともと夫婦仲は非常によかったのにも関わらず、子どもを授かった頃・産後から急に殺伐とした関係になってしまう夫婦が多いのだとか。

 

そのような夫婦に0歳から2歳までくらいの子どもがいる場合、その大きな理由は、産後に急速に夫婦仲が悪化する現象=「産後クライシス」なのかもしれません。

 

その主な原因は、子どもを出産した妻が、産後の夫の赤ちゃんへのかかわり方や家事の分担に、強い不満を持つことから起こると考えられています。

 

興味深いデータがあります。ベネッセ次世代育成研究室は、288組の妊娠中のカップルを4年間にわたり追跡調査し、毎年「(配偶者を)本当に愛していると実感する」かどうかを聞いています。

 

 

産後クライシス表

 

 

子どもが生まれる前の妊娠期を見てみると、男女それぞれ75%ほど(4人に3人)が「本当に(相手を)愛していると実感」すると答えています。ところがそんな愛情が子どもが2歳になった頃には、驚くほど落ち込みます。特に妻の落ち込みは激しくその割合はわずか2年で3人に1人までに半減しています。これは夫たちにとっては、かなりきついデータです。

 

この「出産後に、急激に夫婦仲が悪化する現象」。実は、家族社会学などの分野では長年の研究蓄積がある “定説”だったりします。しかし、このことは日本ではあまり語られてきませんでした。

 

皆さんも何となく実感いただけると思うのですが、これまで多くのメディアは出産を「幸せの始まり」というイメージでしか語ってきませんでしたし、私たちもそれを当然であるかのように受け取ってきたように思います。

 

しかし、それは実態とのギャップがあると言わざるをえません。実際、出産は夫婦にとって「幸せの始まり」である一方、「夫婦関係の正念場の始まり」でもあります。しかし、この一方しか伝わってこなかったことで、これまで美しい誤解が生じてきたのです。

 

妊娠中の奥様をお持ちのみなさんは、出産後、自分たちは自動的に幸せになれると思い込んでいませんか? もしそうなら、あなたはこの美しい誤解によって見過ごされてきた夫婦の深い深い落とし穴に、すでにはまっている可能性があります。

 

 

離婚の最大原因は、産後クライシス?

この落とし穴のせいかもしれない“事故”の最も深刻なケースは「離婚」でしょう。

 

興味深いデータがあります。厚生労働省が5年に1度、全国の母子家庭を対象に行う母子世帯等調査、いわゆるシングルマザー白書のデータです。

 

この調査では調査対象となったおよそ1400人のシングルマザーに「末の子どもが何歳の時に離婚したか」を聞いています。選択肢は「0~2歳」期、「3~5歳」期、「6~8歳」期と3歳ごとに成人の手前まで分けて聞かれています。さて、このときシングルマザーは子どもがいくつのときに最も離婚していると思いますか?

 

生まれてすぐの「0~2歳」期でしょうか? 少し育児の負担が減る「3~5歳」でしょうか? それとも子どもが小学校になり働きやすくなる「6~8歳」でしょうか?(死別や未婚の母といったケースはデータから除かれています)

 

――正解は何と「0~2歳」期。この頃の離婚が全体の3割近くを占めます。

 

この時期はまさに、産後クライシスの発生期。

 

実際、どれくらい因果関係があるかについて研究を行ったデータはありませんが、もしこの時期に夫婦の仲が悪化しやすいことが前もってわかっていれば、いくつかのカップルは離婚を避ける対策を取ることができたかもしれません。

今、この概念を紹介する意義を言えば、それは産後の育児が妻だけの問題ではないという事実を再認識できる、ということです。

 

産後の問題は、これまで育児ノイローゼや産後ブルー、産後うつなどが多く取り上げられ、いずれも、主に母と子の問題としてとらえられてきました。それを夫婦や社会の問題としてとらえ直す事は、きっとこれからの私たちの生き方に、大きな意味を持つのだと思います。

 

 

 

 

参考:東洋経済ONLINE

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